「相続税を申告・納付したけれど、実は払いすぎていた」——そんなケースが実は多くあります。
相続税の申告は複雑で、特に不動産の評価は専門知識が必要なため、気づかないうちに高すぎる評価で申告してしまうことがあります。払いすぎた相続税は、「更正の請求」という手続きで取り戻すことができます。
この記事では「どんな場合に還付される?」「手続きはどうすればいい?」「期限はいつまで?」をわかりやすく解説します。
相続税の還付(更正の請求)とは?
更正の請求とは、申告した税額が本来より多かった場合に、税務署に修正を求めて差額を返してもらう手続きです。
相続税の場合、申告期限から原則5年以内であれば更正の請求ができます。5年以内に申告した方であれば、今からでも還付を受けられる可能性があります。

更正の請求の期限:相続税の申告期限から原則5年以内
(相続開始から10ヶ月+5年=5年10ヶ月以内が目安)
「申告が終わったら終わり」ではありません
多くの方が「申告して納税したら、もうどうにもならない」と思っています。でも5年以内であれば、払いすぎた税金を取り戻すチャンスがあります。特に不動産を持っていた方は、ぜひ確認してみてください。
こんな場合は還付できるかもしれません

ケース① 土地の評価が高すぎた
相続税の計算では、土地は原則として「路線価」という国が定めた価格で評価します。しかし、形が悪い土地・がけ地・騒音がある場所など、実際の市場価格より路線価が高くなるケースがあります。
このような場合、不動産鑑定士が正式な鑑定評価書を作成することで、路線価より低い評価額での申告が認められ、相続税が還付されることがあります。
ケース② 使える特例を見落としていた
- 小規模宅地等の特例(自宅・事業用地の最大80%減額)
- 配偶者の税額軽減(1.6億円まで非課税)
- 未成年者控除・障害者控除
これらの特例を知らずに、または手続きを誤って、適用せずに申告してしまったケースです。
ケース③ 債務・葬儀費用の計上漏れ
借入金・未払いの税金・葬儀費用などは相続財産から差し引けますが、申告書に入れ忘れていることがあります。これらを追加することで税額が下がり、還付を受けられる場合があります。
ケース④ 生命保険の非課税枠を忘れていた
生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠がありますが、この計算をせずに全額課税で申告してしまうケースがあります。
ケース⑤ 税理士の計算ミス
依頼した税理士の評価・計算に誤りがあり、過大な税額で申告されていたケースです。このような場合も更正の請求で取り戻すことができます。
実際にどれくらい還付される?シミュレーション

たとえばこんなケースです。
路線価で申告した場合 | 鑑定評価で更正の請求 | |
|---|---|---|
土地の評価額 | 1億2,000万円(路線価) | 9,000万円(鑑定評価) |
相続税額(概算) | 約1,800万円 | 約1,200万円 |
還付金額 | ― | 約600万円が戻ってくる |
土地の形状・周辺環境・利用状況によっては、路線価と実際の価値に大きな差が生まれることがあります。不動産鑑定士の鑑定評価書があれば、この差額を根拠として更正の請求ができます。
鑑定評価書があれば税務署も認める
「路線価より低い評価で申告する」というと不安に感じる方もいますが、正式な不動産鑑定評価書(国家資格を持つ不動産鑑定士が作成)に基づく申告は、税務署も正当な評価として認めています。根拠のある評価書があれば、税務調査でも堂々と対応できます。
更正の請求の手続きの流れ

- 専門家に相談——現在の申告内容を税理士・不動産鑑定士に見せて、還付の可能性があるか確認します
- 土地の再評価——不動産鑑定士が現地調査のうえ、正式な鑑定評価書を作成します
- 更正の請求書の作成——税理士が修正した申告書・更正の請求書を作成します
- 税務署へ提出——必要書類とともに管轄の税務署に提出します
- 還付金の受取り——税務署の審査後、差額が銀行口座に振り込まれます
審査期間の目安は3〜6ヶ月
更正の請求を提出してから還付されるまで、通常3〜6ヶ月かかります。税務署の審査がある場合はそれ以上かかることも。早めに動くことをおすすめします。
還付を受けるために必要な書類
書類 | 入手先・備考 |
|---|---|
更正の請求書 | 税務署の書式・税理士が作成 |
不動産鑑定評価書 | 不動産鑑定士が作成(必要な場合) |
修正した相続税申告書 | 税理士が作成 |
遺産分割協議書の写し | 手元にある書類のコピー |
戸籍謄本等 | 申告時に使用したものの写し |
注意:5年という期限を忘れずに
期限を過ぎると還付を受けられません
更正の請求は、相続税の申告期限から原則5年以内という期限があります。「申告してから5年」と聞くと余裕があるように思えますが、「あとで確認しよう」と後回しにしているうちに期限が来てしまうケースがあります。心当たりのある方は早めに専門家に確認することをおすすめします。
こんな方は一度確認してみてください
- 相続した不動産(特に土地)があった方
- 「相続税が高かった」と感じている方
- 自分で申告した・相続税に詳しくない税理士に依頼した方
- 申告からまだ5年以内の方
- 過去に相続税申告を行った親族の財産を引き継いだ方
まとめ
- 払いすぎた相続税は「更正の請求」で取り戻せる
- 期限は相続税申告期限から原則5年以内
- 特に土地の評価は路線価より低い鑑定評価で還付されるケースが多い
- 還付額は数百万円〜数千万円になることも珍しくない
- 手続きには税理士+不動産鑑定士のワンストップ対応が効率的
- まずは専門家に相談して可能性を確認することが第一歩
「もう申告が終わったから関係ない」と思っていた方も、5年以内であればまだ間に合います。特に不動産が含まれる相続の場合、鑑定評価の見直しで大きな還付が得られる可能性があります。まずは一度、専門家に現在の申告内容を見てもらうことをおすすめします。
「払いすぎているか確認したい」「不動産の評価を見直してほしい」という方は、初回相談無料でお気軽にご相談ください。不動産鑑定士と税理士が一緒に確認します。